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掛け軸の修復について「掛け軸の売却をするなら把握したい」

掛け軸修復

修復を行わないと掛け軸を長持ちさせるのは難しいです。基本的には「本紙(作品)」を「修復対象の掛け軸」から出します。そして本紙を修復したら、掛け軸自体を新しいものにします。

修復による変化について

 

汚れを除去して綺麗に全体的に白色にしたり、絵がスッキリと見えやすくしたり……という修復はほぼしません。それでは、原画の良さが損なわれてしまうからです。

もちろん「絵が欠けてしまっているから、新しく描き込もう」などということは基本的にしません。

 

 

修復により掛け軸は変わります

 

掛け軸の修復のペースは平均して70~100年に一回です。。

しかし、戦後に作られた掛軸の中にもコンディションが悪くて修復しなければならないものもあります。

反対に、修復が江戸時代頃から全く行われておらず状態が極めて悪くなっているものの、なんとか形を保っている掛け軸も存在します。

 

ちなみに、仏画(寺院などに多い)に関しては数世紀大切に保存されているものも少なくありません。2~3度は修復されていることでしょう。

 

それから江戸~明治頃には、「欠けているところに画を加える」というタイプの修復も行われていました。見栄え重視です。

この写真では、左の赤いところに画が加わっています。波模様を上手に入れてあるので、言われてみても判別できないと思います。

ただ、先述のとおり、今ではそういった「やりすぎ」と言える修復は原則としてしません。

ただし、「原則として」ですから、全くそういう掛け軸がないわけではありません

  • 文字切れ
  • 文字を消した跡
  • 後世の補筆

 

文字が切れている掛け軸も少なくありません。作品の一部分をむやみに切り落としてしまうような修復が施された掛軸は今ではほぼ存在しません。

こういったケースでは和紙を加えることで「修復はしましたが切り落としてはいません」と主張する場合が多いです。

 

 

このような損傷がある場合は根源的な修復が欠かせません

 

掛け軸は太陽の光を浴びせないようにしつつ、湿度に気を使えば基本的にはかなり長持ちします。ですが「巻く」ゆえに、「折れ」などのダメージが徐々に出てきてしまう可能性が高いです。

 

また「糊浮き」などの劣化もだんだん発生します。

ただ、掛け軸である以上はそういった現象は避けられません。単純に「修復すべきタイミングが来たな」と考えましょう。

  • 横折れ
  • 酷くなると「割れ」が発生して、目立って破れてしまう恐れがあります。
  • 虫食い

和紙や絹などが虫に食われてしまうことがあります。

  • 糊浮き

 

「裏打ち和紙」により絹や和紙等の基底材が維持されるわけですが、そのためには糊を使います。そのため、長い年月が経つとどうしても粘着力が低くなるわけです。

  • 絵具などの剥がれ

剥がれた絵具等を元通りにするのは不可能ですが、「その時点で剥がれを食い止める」という意味合いがあります。急いで行わなければなりません。

 

掛け軸の洗浄に関して

 

掛け軸(本紙)を洗う(シミ落とし)と綺麗になります。

そのため「汚れを除去できる」という価値は確かにあると言えます。

 

ただし、そういった洗浄には漂白剤が利用される可能性が高いため、極端に白くなって「作品としての味」が損なわれるかもしれません。また、そのときは良くても長期的に見れば変色が起きやすくなってしまっている恐れもあります。

 

したがって、価値の高い掛け軸(文化財レベルなど)の修復には薬品はまず間違いなく使われません。「少しでも長持ちさせる」ことが重要であって、見栄えは度外視されるからです。

そのため水だけで洗うことになります。したがって「綺麗に変化した」とはあまり思えないはずです。

洗い方の例

  • 水シミがあるケース

水が掛け軸に付着したまま放置すると「水シミ」が発生します。しかし、あまり年月が経っていないのであれば水で洗うだけで取ることが可能です。ですが、長期間放置していると水だけで100パーセント除去するのは難しくなります。ちなみに、水以外の虫糞なども水だけでは落としにくいです。

  • シミが絵具の内部にできているケース

 

シミなどが絵具の内部に存在する際は、絹と絵具が剥離する恐れがあるので、単純に水洗いすることはまずありません。このケースでは「ニカワ」を使って絹と絵具の接着をキープしつつ水で洗います。マシンを使ってニカワ水を加えつつ、下部から水気を吸っていきます。ただし、あまり綺麗にはならない可能性が高いです。

  • 褐色の斑点

 

水だけでピンポイントで洗って斑点を薄くします。それ以上にシミを淡くしたいのであれば薬品を用いるしかありません。薬品を斑点の部分だけに施して、それから水で洗って薬品を除去します。ただ、これで100パーセント斑点がなくなる可能性は非常に低いです。

  • 薬品洗浄

 

「見栄えを著しく悪くして、かつ水だけでは除去できない汚れ」に関しては、ピンポイントで薬品漂白が施されることがあります。

ただし薬品洗浄ができるか否かは、汚れが発生している箇所次第でもあります。

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