骨董品の基礎知識~骨董品とは? 意味や定義、価値の決まり方
「骨董品」という言葉は、だれもが耳にしたことがあるでしょう。
しかしその定義や意味、そして価値の決まり方について、詳細に解説できる人はそう多くはありません。
今回は、「骨董品とは何か」「骨董品の定義」「骨董品の価値の決まり方」などについて解説していきます。
骨董品の意味と定義
「骨董(品)」という言葉の意味は、以下のように解説されます。
①収集や美術的観賞の対象としての(高価な)古道具 ②値打ちのない、がらくた。
―引用:角川最新国語辞典p360 1987年2月10日発行版・山田俊雄・石綿敏雄編
一般的に「骨董品の価値」などのような意味で使われる場合は、①の意味で使われることになります。
これは国語辞典的に「骨董品」という言葉を説明した文章ですが、これだけをみたときに、一つ気付くことはありませんか。
そう、実は「骨董品」という言葉そのものには、「それが何年前につくられたものであるか」という定義はないのです。社会通念上、作られてから2~3年しかたっていないものを「骨董品」とすることはないかと思われますが、私たちが当たり前に使う「骨董品」という言葉が実は明確な基準がないのはなんとも面白いことなのではないでしょうか。
ただ、これも、海外に目を向けるとまた状況が少し異なってきます。
「アンティーク」は100年以上前につくられたものを指す
海外には、「antique(アンティーク)」という単語があります。これも日本語に訳すと「骨董品」となってしまうのですが、アメリカなどではまた違う定義づけがなされています。
アメリカでは、通称関税法によって、「アンティークとは、それが製造されてから100年以上の時間が経過した工芸品や美術品を指す」と定められています。
これは1934年という、今から80年以上前に定められたものですが、現在もこのような考え方にのっとって、「アンティークかそうではないか」を判断する場合もあります。
この定義は、WTO(世界貿易機関)でも取り上げられているものですから、一定の信頼性のおけるものだといえるでしょう。
また、「アンティーク」という表現をした場合は、そこになんらかの価値があると考える解釈が一般的であるように思われます。
「ジャンク」と「ヴィンテージ」
ちなみに、「100年を経過していないもの」に関しては、「junk(ジャンク)」「ジャンク品」ということもあります。ただこれに関しては、日本においては、「ジャンク品=価値のないもの」「ジャンク=壊れている可能性のある中古品」のような意味で使われる場合もあり、解釈は店ごと・個人ごとによって異なっているのが現状です。また、海外においては、日本における「ジャンク品=価値のないもの、価値が保証できないもの」を特に「rubbish(ラビッシュ)」と呼ぶ場合もあります。
「アンティーク」と並んでしばしば耳にする「vintage(ヴィンテージ。ビンテージとも表記される)」についての定義は、一般的に、「20年~30年ほど昔のもの」を指すと解釈されます。
なお、「ヴィンテージ」という言葉が冠されるものの代表として「ヴィンテージワイン」がありますが、実はここでいう「ヴィンテージ」と、ワインにつけられる「ヴィンテージ」は意味合いが異なります。
「ヴィンテージワイン」というのは、「いつの年のブドウで作られたワインかを特定できるもの」を指す言葉にすぎません。
ワインは、果物であるブドウから作られますから、ブドウの出来は毎年異なります。いわゆる「当たり年」に生ったブドウで作られたワインかどうかが、このヴィンテージ表記でわかるわけです。そのため、ワインにおいて「ヴィンテージ」は非常に大切なものです。しかしながら、家具や家財道具に冠される「ヴィンテージ」とは異なり、ワインにおけるヴィンテージには歴史は必要ありません。2年ほど前につくられたワインであっても、「2017年のヴィンテージ(ワイン)」などといわれることもあります(もちろん、長い歴史を持っているワインもあります)。
骨董品を扱うお店のなかには古酒を扱う店もあります。また、親から受け継いだ古酒を売りに出す人もいるかと思われますから、この点についても知識として持っていると、売買のときに齟齬が生まれにくいでしょう。
「レトロ」と「リプロダクト」と「コピー」について
なお、「reto(レトロ)」という単語は、特に年代を区切った言い回しではありません。「レトロ柄のワンピース」などというように、昔風につくられた製品のことをいいます。
なお、家具に特に見られる「リプロダクト品」というのは、意匠権の切れた柄などを利用して作られるものであり、「できるだけ原本に近いもの」を目指して作られる製品をいいます。リプロダクト品の場合は昔の木々などを使って使われるわけではなく、また新しく作り出すことができるものです。
ただ工場で生産されるものも多く本物のアンティーク家具よりも格安価格で流通することになりますが、受注生産というかたちで販売されるものも多く、それなりに値段が張る製品もあります。
ちなみに、「コピー品」と「リプロダクト品」はしばしば混同されますが、リプロダクト品は意匠権の切れたものを使って作られるものです。コピー品は「模造品」であり、意匠権が切れていないものを使っており、犯罪性の高いものをいいます。そのため、リプロダクト品とコピー品は明確に区別されます。
骨董品の価値の決まり方について
このように、「骨董品」という言葉は、非常に多く知られたものでありながらも定義づけさえもあいまいなものです。ただ一般的には、「価値があると認められる古いもの」を指す、と考えておけばよいでしょう。
ただここで、また疑問が出てきます。
そもそも「骨董品の価値」はいったいだれが決めるのでしょうか?
上でも述べたように、「古い物=価値があるもの」というわけではありません。もちろん世界最古の発見などの場合は学術的な価値も持ちますが、100年前の道具がすべて「価値のある骨董品」として扱われるわけではないのです。たとえば、自分の家の倉庫に転がっていた大量生産品のふちが欠けた日常使いの食器などは、100年ほど経ってもそれほど大きな価値は見いだされないでしょう。
1.美しいものかどうか
骨董品の価値を決めるものの一つとして、「それが美しいものであるかどうか」が挙げられます。人から見て心を打つ絵、丁寧に作られた美しい曲線を持つ家具、名窯で作られた独特の風合いを持つ食器などは、100年以上経っても私たちの心に感動をもたらします。これらの「美しいもの」は、骨董品の価値を高めます。
ただ、「美しい」という感覚は極めて主観的なものです。自分たちにとっては何一つ美しいと感じるところがなかったものが、専門家に鑑定してもらったところ非常に高い値段がついた……ということもありえます。
このため、「親の家を整理していたら、古いものが出てきた」「価値がイマイチ見極められないものが出てきた」などの場合は、自分たちで勝手に処分せずに、一度専門家に鑑定を依頼した方がよいでしょう。
2.需要があるかどうか
特に絵などの芸術品に対する評価軸となるのですが、需要があるのかどうかというのは、価値を決めるうえで非常に重要なポイントとなります。
たとえば、だれもが知る、「フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホ」。「ビンセント(ヴィンセント)・ファン・ゴッホ」とも書かれることの多いこの画家は、世界でもっとも有名な画家のうちの一人だといえるでしょう。
「ひまわり」が非常に有名な作家ですが、彼は生前は無名の画家でした。彼が注目されるようになったのは、彼の死後です。
彼の作品自体は美術館や会社などに収められるべきものではありますが、あの有名なひまわりは53億円で、当時安田火災海上保険(現在は「損保ジャパン日本興亜」)が落札しました。
ゴッホの作品はたしかに極端な例ではありますが、このように、需要があれば、桁外れの金額がつけられるのが、骨董品の世界であり、美術の世界であり、芸術の世界です。
逆をいえば、どれほど古い作品であっても、需要がまったくなければ高い金額がつけられることはありません。
3.希少価値があるかどうか
どれほど美しいものであっても、希少価値がないものならばなかなか高額な金額はつけられません。
「(アンティークの定義である)今から100年前」というとおそろしく昔に感じられますが、当時はすでに、工場を利用した大量生産も行われていました。中流階級向けにも多くの家具が生産され、多く売り出されました。現存するものも少なくはありません。
このような、「大量生産で、そこそこの品質で」というものは、希少価値はあまりありません。そのため、それほど高い金額では扱われません。
出展:ニュースイッチ「53億円のゴッホ「ひまわり」は、いい買い物だったのか?」
骨董品を高く売るためにはどうすればいいのか
さまざまな条件で、「骨董品の価値」は決まっていきます。
ただ、私たちが手に取る骨董品というのは、ゴッホのひまわりなどに代表されるような「極端に値段が高いもの」ではないでしょう。
多くの場合、骨董品を引き取るショップなどに現物を持参し(今は出張買取や、写真での査定に対応しているところもあります)、買い取ってもらうケースが多いかと思われます。
この場合は、「その現物自体の価値に加えて、その現物の状態」によっても値段が左右されることを認識しておくべきです。
たとえば、同じ商品であっても、以下のような条件で買取価格は変わってきます。
1.店の質や方向性を見極める
これは非常に重要な要素です。
現在は、「中古品を買い取る」としている業者は非常にたくさんあります。一般的な家具を買い取るところもあれば、美術品を買い取ることを前提としている業者もあります。
美術品としての正確な鑑定を期待するならば、当然後者の方が望ましいでしょう。しかし、「遺品が大量にあるので、とにかく引き取ってほしい」というような場合は前者の方が使いやすいものです。前者の場合は、「値段の付かないもの」でもとりあえず引き取って処分してくれる場合もあるからです。
どちらが良い・悪いとは言えません。ただ、「どのような目的で売るつもりなのか」によって売り方や値段の付け方が変わってくることは十分に認識しておくべきでしょう。
ちなみにここでは「店」としましたが、オークションなどを利用する方法もあります。
2.その店が得意としている、あるいは買取を強化している骨董品を持ち込む
お店ごとによって得意とするカテゴリーや、買取を強化しているカテゴリーがあります。それらを持ち込めば、査定金額がアップすることも考えられます。
これらのキャンペーン情報や買取強化情報は、時間の経過とともに変わっていくこともあります。
売りたいものがあるのなら、定期的に確認するのがよいでしょう。
3.骨董品の状態
当然のことですが、「骨董品の状態」でも買取金額は上下します。特に切手などの「使うこと」を前提とした骨董品の場合は、「使用前か使用後か」によって大きく値段が異なります。
また、食器に代表される磁器や陶器の場合、破損がないかなども問われます。骨董品の場合はどうしても時間の経過とともに状態が悪くなっていくものですが、その分、傷などが少ないものは大事にされます。
ただ、「状態が悪いから自分で直してから持って行こう」という考えはやめた方が賢明です。骨董品は非常にデリケートなものも多く、自己判断で修復しようとすると逆に状態を悪くしてしまいかねません。ほこりなどを払う必要はありますが、無理にきれいにしようとするのは危険です。
4.箱などがついているかどうか
「付属品」も骨董品の価値を左右する非常に重要な要素です。壺や花瓶、お酒などは、これがあるかどうかで値段が大きく変わってきます。これらがあると来歴も分かりやすいですし、価値も高まります。
箱の状態も、当然きれいである方が望ましいものです。箱そのものも価値を持ちますから、捨てたり傷ついたりしないように保管をしましょう。
鑑定書などがあれば、それももちろん一緒に持参します。
「骨董品の定義」は非常にあいまいなものです。
しかしその「骨董品」にどれほどの価値があるかを判断する材料はあります。
自分が売り手となる場合も意識したいものです。
買取品目
骨董品,中国骨董品,美術品,古美術,美術工芸,中国美術,陶磁器美術工芸,陶磁器,作家物の陶芸、漆器,書道具,楽器,古道具,他『買取』
当てはまるお品物買取
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ゴミとして捨てる、不用品処分業者に依頼する前にぜひご相談ください。
なんだかよくわからない物、状態がよくない、散らかっている、経験豊富な鑑定士が価値あるお品物を見落とさず、高価買取致します。
最後に
骨董品の基礎知識~骨董品とは? 意味や定義、価値の決まり方をご紹介しました。
家の中に眠っている、ガラクタだと思っていたものが、実は高値の付く貴重な骨董品かもしれません。
心当たりがありましたら、一度は鑑定士に見てもらうことをおすすめします。
「福和堂」では、経験豊富な鑑定士がお客様の骨董品をはじめ、茶道具や美術品など、さまざまな物品を査定いたします。ぜひご相談ください。
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